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2006年3月30日 (木)

審判

四ツ谷の店に行かなくなってからもオイラには行きつけがあった。

新宿三丁目の花園神社の近く、地下1階にある日本酒のお店である。どういうきっかけだったか覚えていないのだけど、8年ほど前に足を運んだのが最初。
客単価は1万〜という感じなので、20代前半の若造が行くようなところではないのだが、当時は諸事情(働きまくりで金を使う暇がない)により、飲食ぐらいしか金を使うことがなかったので背伸びをして入るという意識はなかった。

日本酒は200はいかないかもしれないけど、100種類は確実にあった。それと少し頑固なマスター(オイラは大将と呼んでた)、適当なようで絶品の肴が出てくるというステキなスペースであった。
唯一の欠点はビルの地下ということで、入るのに少しハードルが高いということ。でも、それも常連にとっては混みあって五月蝿い店内にならないというので良かったかも。たまに行くと客がいなくて大将がカウンターで書き物しながら「いやー今日はどういうわけか暇なんだよー」と笑ってたりしたもんだ。常々「俺はね、いつかこの店を1階に出したいんですよ」と言っていた。

通い始めのころは仲良くなった女の子を連れて行ったりしていたのだけど、そのうち会社の上司や仕事仲間を連れて行くようになり、弟や両親を連れて行ったこともあった。ここ5年ぐらいは月に1度か2度、誰かとというより一人でふらっと飲みに行く方が多くなったと思う。

去年の5月ぐらいだっけなぁ。一昨年になるのか?丁度前のビルが立て直しだかで解体することになり、物件も出たということで新宿御苑の1階に移ったのである。少し手狭にはなったけど大将の夢が叶ったというところであった。さすがに客がいないということはなくなった。


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昨年の11月の中頃、店に行ったら大将がいなかった。大将は新宿三丁目時代は年中無休を地で行ってた(正月初詣して降りていくと店開けてた)ので店を空けるというのはなかったのだが。ベテランのおばちゃんねーちゃん店員に聞くと「マスター調子悪くて、3日前に自分で病院行ってその場で入院になったんですよ」とのこと。実は、新宿三丁目時代に病気になってその時は治って復帰してたんだけど、どうやらそれが再発したらしい。年齢不詳ではあるが、うちの親父ぐらいの年だから心配で、その時は店員と思い出話などして、「また来ますよ」と言って帰った。

「また来ます」と言ったものの大将のいない店はなぁ…と思いながら足が向かなくなり、まぁ復帰したらまた携帯に電話でも寄越すだろうと思っていたのだけど、音沙汰の無いままもうすぐ4月。半年近くなってしまう。
そこで、四ツ谷に出たついでに意を決して行ってみることにしたのである。正直結果を知るのが怖かったのもあったので、足が遠のいていたんだと思う。そういう意味では審判の時。

2月だかに昼間通りかかった時は、店はそのままだったので、やってるなとは思ったのだけど、今回行って見たら不安的中。違う名前の看板が上がっていた。少し覗くと、店の内装や厨房はそのままのようだけど、知らない店員が働いている。
湧き上がる不安と後悔。店がどうなったのか、大将がどうなったのかが分からない。「また来ます」という約束を果たせなかったのか。転職してから名刺渡してなかったからメールももらえない状態だったんだなぁ。渡しとけばよかった。

新しい店の人に聞く気にもならず、他の店に入って飲む気にもなれず、帰宅することに。
帰宅してGoogle様に店の名前や新しい店の名前やら入れて尋ねてみるも不明。お店の女の子とも仲良かったんだけど、連絡先まではしらねーなー、と思ったのだけど、そういえば、去年一人送別会やった時に名刺もらったなぁ、と。結婚してダンナと一緒に韓国行っちゃうけど、向こうでも日本語読めるようにしとくとか言ってたし。
が、書いてあるアドレスはhotmail 。うぅ、使われてない可能性たけーなーと思いながら藁にも縋る思いで「どうなったか知らない?」と聞いてみた。

翌日、ラッキーなことに返答が。結局、大将は2回大きな手術をして、本人は退院したら復帰すると言ってたんだけど家族で相談して店を閉じることになったそうな。今は通院しながら治療してるはずとのこと。
まぁ、大将が曲りなりにも元気なのを聞いて少し安心した次第。
そうなると急に「もう竹泉の夢酔人を飲める店はなくなったんだなぁ」などと店が惜しくなる。というより、一人で行ける行き着けを無くしてしまった…

日本酒の楽しさを教えてくれたのはもちろん、学生から社会に出る過程でオイラの行動原理、「野暮なことはしない」ってことと、「何が野暮で何が粋か」ということを教えてくれたのが大将であり、店であった。

無くなってしまったのは悲しいけど、ありがとうございましたというキモチ>「あ一心」

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