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2007年8月 8日 (水)

沈黙は金?

最高裁もスティールの抗告棄却 ブルドックの買収防衛策

 この決定により、日本企業で初となる新株予約権を使った防衛策の発動が進む。ブルドックは9日、株主に対して7月に発行した新株予約権を取得。スティール以外の株主には新株を、スティールには現金約21億円を渡す手続きに入る。スティールの持ち株比率は約10%から約3%に下がる。

東京高裁の時は「企業価値と株主利益を棄損する乱用的買収者」と言われてしまったと報じられているスティール。実際に主文を読んでみると 「抗告人関係者は後記認定のとおりいわゆる濫用的買収者であって,抗告人関係者による本件公開買付けは,相手方の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するものであり…」 と書かれている。この時の判決を見ると、スティールが「濫用的買収者」かどうかで防衛策発動を認めるかどうかが決まる、というイメージで、法の上でしっかりと決められたものがないのがアリアリと見て取れる。やっていいとも悪いとも書かれてないから、どうしようかなぁ、こいつ悪い奴だからやっていいことにしよっか、という感じ。

今回の最高裁の判決を受けて、スティールは21億円を得ることとなった。もし、スティールが買収することで企業価値を上げることが出来たとすれば、防 衛策発動を許した83.4%の株主は失敗したことになる。スティールが防衛策を発動するに値する「濫用者」だったとしたら、21億与えてそれでも3%保持 というのは、「濫用者」の思う壺のような気がする。結局経営陣と既存株主は負けって感じか。

大体、3月期売上167億で連結利益7億の会社がホイホイっと Cash で21億出せるってのは株主的にOKだったのかね?弁護士とアドバイザー費用が6億かかるので、28億の特損計上で今期は10億の赤字だそうですよ。本当によかったの??

ただ、先の高裁の判決にはこんなこともかいてある。

株式会社は,理念的には企業価値を可能な限り最大化してそれを株主に分配するための営利組織であるが,同時にそのような株式会社も,単独で営利追求活動ができるわけではなく,1個の社会的存在であり,対内的には従業員を抱え,対外的には取引先,消費者等との経済的な活動を通じて利益を獲得している存在であることは明らかであるから,従業員,取引先など多種多様な利害関係人(ステークホルダー)との不可分な関係を視野に入れた上で企業価値を高めていくべきものであり,企業価値について,専ら株主利益のみを考慮すれば足りるという考え方には限界があり採用することができない。

これはこれで良いこと言ってる気もする。こないだ読んだ「世界を壊す金融資本主義」という本があって、中身はアメリカ嫌いなフランス人が書きそうなことだなぁ、というのも半分ぐらいなんだけど、要は利益追求のみを目的とする株主が支配する世界ってのは限界があって、地球は有限なんだからその内終わりが来るよ、って話であった。いくつかの統計データが出ていたのでそれはそれで興味深いのだけど、じゃあ結局どうすればいいのかについては書かれていないというちょっと中途半端な本。

利益を追い求めるのは人間の常であって、それによって産業や経済が発展する。利益を追うというと聞こえが悪いかもしれないけど、老後は安心して暮らしたいと思って積み立てた年金の行き先が投資ファンドだったりね。
それを完全否定しちゃうとあらゆる経済活動が停滞して北の将軍様のお膝元みたいになってしまいそうなんだが。バランスが大事なんであって、なんでもかんでも投資活動を否定するような昨今の司法やマスコミの動きはちょいと心配である。

結論としては、さっさと法整備しろよってことかな。ネット上の著作権とかの法整備もそうだけど、裁判官に完全に依存した判例がポコポコ出てきているのは、日本の産業の将来にとって非常に危うい。経済発展は政治の問題だけど三権分立のわが国ではこの手の判決に政治は口を挟めないわけで、さっさと立法しないと、海外から見て何の魅力も無い国、そして海外に対して何も始められない国になっちまう可能性あり。
投資にしろ起業にしろ、何か始めようとしたときに「これは法的に大丈夫」「これはダメ」というのがハッキリした状態から始められるようにして欲しいもの。

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