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2007年12月27日 (木)

倒産

2年ちょっとの学生ベンチャー経験を終えた時、その会社は20人弱ぐらいだったと思う。やっと方向性が見え始めたぐらいで仲間が仲間を呼ぶような感じで徐々に人が増え始めた頃だった。厳密にはスタートアップのメンバーではないが創生期からバイトとして在籍したオイラは個人的スポンサーの意向で他の企業に就職。
その後さらに2年たって戻ってみると倍ぐらいになっていた。オフィスも広くなり、知らないSE/PGやデザイナも多数いた。一方で懐かしい顔もほとんど皆残っていた。

本当は技術絡みが本職のオイラだが、会社の拡大にバックオフィスがついて行けず、他部門からクレームが出ていたり、バックオフィスのスタッフもフラストレーションを抱えていたりとよろしくない状態だったので、とりあえず管掌としてバックオフィスを持つことに。当時はスタッフ5人ぐらいだったかなぁ。その中に人事担当のXさんがいた。当時はネットバブルがはじける1年ちょっと前だったし、会社の拡大期でもあって採用が重要。社長からも「X君任せたよ」と言われ、早速Xさんもやる気を出して、媒体のピックアップ、適職フェアへのエントリなど積極的に動き出した。
ところが一向に報告がないので確認してみると、すでに媒体出稿、適職フェアなどは契約済み。それはいいんだけど、すんごいテカテカした上質紙にフルカラーで印刷した大判ポスターまで届く始末。押印申請など会社としての体がしっかりしていなかったのが一番の問題だし、着任早々のオイラが油断していた(まさか担当レベルでハンコ押せるようになってるとは思ってなかった)のが悪かったのだが、結局なんだかんだで採用前から経費1000万以上が消えた。

消えたものは仕方ないとして、次もやられちゃかなわんということで、会議室に呼び出して「今度からは相談してくれないか」というところから、今回の経費がかけすぎなことなどを話したのだが、Xさん曰く「採用はああやらないとダメなんです」とのこと。どうも新卒採用やるような大手企業と駆け出しベンチャーを同じに見ているらしい。「それは正論だけど、うちの規模だと無理だよ。もう少し他のやり方があるでしょ」と諭そうとしても、涙を浮かべて熱く持論を展開するのみ。悪い人じゃないのは確かだし、言ってることは規模によっては正しいんだろう。でも現実に Fit しないことがある、というのが理解できないようだった。

その後、勝手に経費支出なんてことは無くなったのだけど、採用方針を巡って周りと意見が合わないこと等が何度かあり、営業部署に回ってもらったりしてもイマイチで、オイラが入って1年たたないうちに退職の相談をされた。前述のように悪い人ではなかったし、問題の無いときは話もちゃんとできる人だったんだけど「Xさんは独立起業したほうがいいのかもしれないねぇ」と去るものは追わずということにした。オイラの意図としては「一度やりたいようにやって上手く行けばそれでいいし、ダメだったらそこで学ぶこともあるだろう」ということであった。人の下で働くのが苦手と言うか、人の下ではパフォーマンスを出せない人っているのだ。そういう人は大学で研究するか、社長になるのが一番いいと思ってる。彼に関しては正直、上手く行くとは思ってなかったけど。

その後2ヶ月ほどして電話があり、挨拶したいとオフィスに尋ねてきた。「アシスタントとか数人(2人だったかも)で人事支援の会社を開きました。何かあればご相談ください」とのことだった。「よかったね。頑張ってね」と嫌味でもなんでもなく本心から言って別れてそれっきり。オイラの方も波乱万丈で忘れてた。

5年ほどして、当時の知り合いから久々の食事の誘いを受けた。色々話しているうちに「実はYさんに頼まれて、X君の会社の手伝いをしてるんですよ」とのこと。全然知らなかったのだけど、Xさんの会社は事業ドメインをずらして大きな会社になりIPOするかどうかみたいな話になっているらしい。ところが内情はというと、Xさんを気に入ってくれた顔役のような人が色々なところから集めたお金をXさんの「正論」に使ってしまったらしく、大変なことになっていると。優秀な人を集めるには大都市に立派なオフィスが必要だということで日本全国派手に展開し、採用やPRのために雑誌を発行したりした割にパフォーマンスは出ず、何度か集めた出資者のお金もみるみる融けていっている、と。また「べき論」で推し進めた仕事で現場が炎上したり、自ら火消しに行って混乱を招いたりと大変だと。
お手伝いで入った彼の仕事は広げすぎた事業所を整理したり、お金周りの書類を整理したり(入出金とか予実管理とかは酷かったっぽい)、ということだったが、その後半年ほどして「色々彼にも説明したんだけど、あの人折れないんですよね。なので諦めて手を引かせてもらいました」と聞いた。三つ子の魂という奴か。諫言するような人間はかく去り、恐らく周りにいるのは阿るだけのイエスマンなんだろうことは想像に難くなかった。

それから 1年ちょっとたっただろうか。その間、何度かオフィスの前を通ることがあったけれども、相変わらず夜中も煌々とした立派な看板が出ていたので「なんとかなったのかな?」と思っていたところに、民事再生の手続きに入ったとの知らせ。

オイラが退職の相談を受けたときには、そんな巨額の出資者が付くなんて想定はなかった。せいぜい自分で集めた1000万でやってみて、飛んだら勉強だよね、ぐらいだったんだけど…オイラが知るだけで億単位のお金が数度に渡って注ぎ込まれているはず。理想は強気だが、現実に直面すると決して気の強くない彼だけに、これからが心配なんだが…

経営手腕の無かった彼に責任があるのは当然だけど、大人もお金のつぎ込み方には気をつけないとね。自分の「なくなってもいい金」を若者の夢に託すのはいいと思うんだけど、変に自分以外のファンドとか他のところからお金引っ張ってきたりするとこけた時のキズが半端ないから。

先日、オイラが何度言ってもダメな社長なので見限った会社に、知り合いの会社のファンドがお金を突っ込んだことを知って驚くと同時にそんなことを思い出した。

多分、数千万ぐらいなのでファンド的にはすっても痛くないだろうし、万が一上手く市場を騙せて IPO とかなれば、速攻で売り抜けてウハウハだし。実際そんな話あったしな。
ダメな子供に大量のお小遣いを渡すと最後にどうなるか、某女優の息子を見ずとも分かることなんだが…

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