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2009年7月 7日 (火)

書籍流通

10年以上前、所謂学生ベンチャーの走りのようなことをやっていたときに、書籍のオンライン販売を考えたことがあった。まだ日本には Amazon も無い頃。
当時は若かったし、熱い仲間と色々とプレゼンしたり人を紹介してもらったりして事業立ち上げに奔走したが、正確に言うと奔走しようとしたが早々に玉砕した。立ちはだかった壁は既存の業界の壁。それも直接ではなく間接なのでタチが悪いし怖さ倍増。要は「そんなビジネスに手を貸したらうちが商売できなくなる」といった感じだった。

まあ色んなところで色んな人が書いているので今では一般常識なのかもしれないけど、日本の書籍流通は出版社から取次と言われる商社を通して書店に本が並ぶのであるが、委託販売制度が取られている。会計上は販売しているように見えても、実際は品物を預けて書店に置いているだけで、売れなかったら返品できる制度。なので、日本の本屋の本には青とか黄色とかピンクの短冊みたいなのが入っていて、レジで抜くのな。売れましたってことで。近頃はPOSレジが浸透してるから不要なのかもしれないけど。
んで、パワーバランスとして取次がめちゃ強くなってしまっている。ので、先ほどの「うちが商売できなくなる」プレッシャーをかけてくるのはここ。長らく出版社としては新規販路開拓が出来ず、取次の決めた配本先にしか流通させることが出来なかった。理由は既存の書店を守るため。
また、書店は値引きをしてはいけない。だからどこいっても同じ値段で本が売られている。売れなくなった本でも定価のまま。今は知らぬが、昔は家電量販店でPCの書籍を買ってもポイント対象外だったりね。実質値引きに相当するからNG。
その後、何故アマゾンが上陸できたか、ネットで注文してセブンイレブンに本が届くようになったかというのは謎だがな。鈴木会長が取次出身だからとか何とか。まあでも、ネットでも値引きはしてないよね。海外の Amazon 見れば書籍も普通に値引きされてるのが分かる。

で、今日のニュース。
35ブックス:返本に引き取り料、書店に要求 出版8社が新制度

既に小学館が責任販売制と称して、売れなかった本のコストを書店に負担させ、見返りに売れたときのマージンを大きくするということを行っているそうなのだが、それを中堅出版社が真似するのだそうだ。一般的な業界でビジネスやってる人からすれば仕入れて売れなかったらリスクを負うのは当然で、何を寝ぼけたことを今更、という感じもあるのだけど。

さて、この制度が入ると書店の利益が上がる、という報道もあるようだけど、実質は出版社側の返品リスク減少だけのような気が。市場原理が普通に入ってきたら売れない本は書店としても欲しくないわけで。これまでのように売れるかどうか分からない本は仕入れない=>棚に並ばない。そうなると益々 Amazon 等のオンラインのでっかい本屋の方が消費者にとってメリットがあるんじゃないだろうか。本屋に行けば何かよく分からないけどふと手に取りたくなる本がある、というのが魅力であって、どこいってもベストセラーが同じように並んでいる、となればいく必要が無いような。

そもそも出版不況というのがどうにかなると思ってる時点でダメなんじゃないかなぁという気もする。今だからまだ紙の良さというのも感じられるけど、大きな流れの中では石版とか木簡とか羊皮紙にインクとかと同じなんじゃないのかなぁ。もしかしたら活版印刷が出た頃にも「羊皮紙じゃないと味わいがなくて」「近頃羊皮紙不況なんだよね。なんとかして打開しなきゃ」なんて言ってた人がいたかもしれぬ。

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