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2009年11月10日 (火)

奈良散歩 -今西酒造-

昨日のエントリと前後する。
希望的観測(もう見積もりばっかりの人生は嫌だ)も含めてだが年末にかけて忙しくなりそうで。今年というか来年は正月休みも短そうだし、帰省出来るかどうか怪しい。ということでの週末神戸であった。

が、ただ神戸に帰るのも勿体ないので、金曜休みを取って朝7時過ぎの新幹線で京都へ向かう。京都も魅力的だが7分ほどの乗り換え時間で"みやこ路快速"に乗り奈良へ。司馬遼太郎の街道をゆくシリーズ、「奈良散歩」を読みながら小一時間ほど揺られる。読んでいると興福寺や東大寺に行きたくなって困るのだが、心を強く持って奈良駅で桜井線へ乗り換えて更に南下。
この桜井線、本の続きを読みながら乗っていたら次の駅についてもドアが開かぬ。ローカル線や海外で見かける降りるときにボタンを押してドアを開けるパターンかと思ったが、それらしきものも見当たらず。ちょっと海外の交通機関に乗ったような緊張感
放送を聞くと先頭車両しかドアが開かないらしい。基本的に無人駅でワンマンのようだ。目当ての駅の一つ前で先頭車両に移動し、三輪駅に降り立つ。無人駅だが ICOCA のセンサがあり。SUICA互換なのでピピッと言わせて駅舎を出る。11時過ぎ。

さて、今回の目的は大神神社。大神と書いて「おおみわ」と読む。一説によると古来「神」と言えば「三輪の神」に決まっていたので「みわ」と読んだのだとかなんだとか。ここの神様は水神が転じて酒の神様でもあり、酒屋の軒にかかる杉玉は新酒が出来た印に大神神社の杉玉を提げるのが本来なのだとか。毎年11月14日にはお祭りがあって、全国の酒蔵に御幣と杉玉が与えられるのだそうで。

 古来より我が国では、お米が「お酒」に、大豆が「醤油」「味噌」へと発行熟成する現象を、神様のお働きによるものと信じ崇めてまいりました。
 古い書物によると、大和国の黎明期、三輪山に沢山の人々が集まり、建国に励んでおりました処、人々の心が散り散りになり、国家崩壊の危機に陥りました。そこで崇神天皇は、高橋活日命(たかはしいくひのみこと)に酒造りを命じ、三輪山に鎮まる神々にお酒を献じ、初めて国歌安泰の祭祀を賑々しく執り行いました。
 その時お供えしたお酒が、あまりにも見事な素晴らしい出来栄えであった事から、皆「神人和楽(しんじんわらく)」の境地に至り、大いに慶び、心を一つに力を合わせて国家再建の目的を成し遂げられました。この時、高橋活日命は、
  この御酒は わが御酒ならず 倭なす
        大物主の醸みし御酒 幾久 幾久
と詠み、このおいしいお酒は三輪の大神様がお造りになられたと誉め讃えられました。これより三輪の神様は「お酒の神・醸造の神」として篤い信仰を受けるようになり、併せて「味酒(うまさけ)」は三輪の枕詞になりました。

ということで、まずは三輪駅からほど近い今西酒造という蔵にお邪魔する。

予約も何も入れず、少しお酒を見せてもらって良さげなら購入しようかと軒をくぐると、気さくな40前後ぐらいの女性が「いらっしゃいませ」と声を掛けてくれた。「ここで買って送ることは出来ますか?」と聞くと「出来ますよ。よかったら試飲してください」と。冷蔵庫から6種類ほどを出してくれて、それぞれ丁寧に解説をしてくれた。「お茶でも出しましょうか?」とまで言って頂いたが、恐縮なので持って行った水で漱ぎながら試飲。
ここのブランドは「三諸杉」と書いて「みむろすぎ」という酒。「みむろ最中」というのも近所にあるので聞いてみたら「みむろ(みもろ)山」というのは三輪山の別名なんだそうな。なるほど、ということは三輪の杉ということで、杉玉の杉なのだな。
試飲してみると純米吟醸が美味い。もう1本、菩提酛という少し酸味のある面白い純米酒と都合2本を東京へ送ってもらうことにしたら、「今作業してなければ案内出来るかもしれないんですが、ちょっと見学されますか?」ということでお言葉に甘えて奥へ。奥と行っても仕切りの暖簾をくぐるとそこが作業場。


米研ぎ
普通にザブザブではなくストップウォッチで
測りながらのそこそこ緊張感ある作業

杜氏さんと蔵人2人でやっている本当に小さな蔵で、杜氏さんは38歳と若い。杜氏さん自ら色々見せてくれながら「どうぞ写真撮ってください」とやたら勧めてくれるので聞いたら「私も昔はカメラ抱えて色んな蔵を巡ってましてねぇ。酒好きが高じて」とのこと。酒好きに悪い人はいないよ(本当?)。
こちらの35%の大吟醸(出品用)は未だに木船で絞るらしく「こんなの本当は博物館行きですけどね」と笑いながら木船と水を汲む手押しポンプを見せてくれた。


船の中に雫酒を取り終わった袋を並べて押すそうな

ちなみに良くある蛇腹型の機械で絞ると酒粕が2割5分残るが、木船だと4割5分のこるんだそうで、それはそれは素晴らしい酒粕ができるんだそうな。近隣の住民が3月ぐらいになると「酒粕まだですか?」と聞きに来てあっという間に売れてしまうと。
「酒粕があるってことは大吟もあるのに、お酒は中々買ってくれないんですよ…」とこぼしていた。「山田錦を削ってねぇ、これだけ手間掛けて、搾りも大変で…本当はもっと高く売りたいんですけど、中々難しいですからねぇ。お客さんみたいに若い方がどんどん飲んで頂けると有り難いんですけど…」と。いや、悪いけどあなたと2つしか変わらないよ。
愚痴りながらもどこか楽しそうな杜氏さんが「じゃあ、これから作業戻りますんで」と仰るので、遠目から米研ぎを見せて頂いてお礼を言って失礼したのでした。

江戸に帰って届いたお酒の中にお手紙が。

何となく応援したくなる cozy でステキな蔵でした。
今西酒造株式会社

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