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2014年10月14日 (火)

「大月 木村屋」

元々は2週か3週前に山に行こうと言っていたのだけど天候が微妙でやめに。リスケしてもっかい、と思ってたら「もう寒いから山はやめた方が」ということで、じゃあリニアの試験走行を観に行こう、ついでに未だ見ぬ吉田うどんを食いに行こう、という遊びの旅に。
山梨県立リニア見学センター

ところが1週前の試験走行スケジュールによれば11日の土曜は試験走行無し。ということで、単に「うどんを食いに行く」旅行と相成った。

特快、快速と乗り継いで、途中「踏切に人が立ち入ったため安全点検」なんてのもありつつ大月駅に着いたのが0958。迎えに来て頂いたAさんに会うと「木村屋開いてますよ」。

最初は2010年の7末に甲州街道歩きをしていて衝撃の出会いをしたのだけど、その後は大月に行くたびに立ち寄るものの店が開いていることが無かった和菓子屋。何と開いているらしい。あの時売ってくれなかった「きんつば」を今度こそ求めようと店へ向かう。「今回も30分ぐらいすかね?」などと言いながら。そう、あの初回は暑い中立ちっぱなしで30分話を聞く羽目になったのである。

富士急のフジサン特急を眺めながら歩く。凄い。右から2つめの奴なんて時節柄ヒドいデザインだと思うんだけどここまでやり切ると凄いなぁ。

というわけで木村屋着。確かに開いていた。10:10入店。

さっさとAさんが入っていって遅れて入っていくと誰も居ない。陳列棚を見ると「きんつば」のケースは空っぽ。というか店全体が薄暗くてとてもじゃないけど店をやってる雰囲気じゃ無い。
「今日もきんつば買えないのか」なんて話をしてたら、奥から店主登場。「ゆっくり見てってよ」と、こちらが冷やかし確定といった感じだ。

「今日はきんつば無いんですか」と誰かが聞いた。思えばこれがゴングだったのだと思う。「今日はね、注文でこういうの(紅白饅頭の箱)作るだけだからね、店はやんないんだよ」という何故開けてるのか良く分からない返答。しかも、この後ずっと話を聞いてると、電話注文は受けないらしいので、ということは知り合いか近所の人が直接頼みに来たら作るってことなんだろうか。結局最後までどうやって食ってるのか分からなかった。

その後も話が止まらない。信玄餅の話、臨済宗の話、製菓学校の話、自分の母親の話、下駄の話、都留の裁判所の話、木村屋の屋号の話(何と木村さんじゃなかった)…他何を聞いたかな。時系列がバラバラなので全部は覚えてないな。東京下町のオッサンみたいな口調、噺家の間合いで話を滔々と続ける。
途中まではオイラ達を冷やかしの一見だと思ってたらしいんだけど、途中で「あなたたちここ初めて?」と聞くので甲州街道歩きの時の話をしたら「あー、思い出した。あの後甲府に用事があって車で走ってたら初狩辺りでトボトボ歩いてた奴だろ」と記憶が蘇ったらしい。こっから後は、新しい話を始める度に「この話したっけ?」と確認を入れながら話すようになった。

本業の和菓子の話をしていると「これなんかね、こっちじゃ俺ぐらいしか出来ないんだよ」と干錦玉の鮎を出して来た。表面が固く、中が柔らかい干菓子だが京都の技なんだそうで。「こういうのはね、この辺じゃ売れないけど、俺のプライドなんだよ」
そちらの棚を見ると他にもいくつか干菓子が並んでいた。「これはね、盆のお菓子で作ったんだけど残っちゃったからもう捨てるんだよ」プライド捨てるんだ…「そうだ、持っていきな。ただ、他の人にあげないでくれよ。こういうのをね、野暮っていうんだよ。木村屋は季節外れの菓子売って野暮だなんて言われたくないからね」と言いながら和三盆など7種ほどをパックに入れてくれた。

入れてくれたんだけど、7種類5人分を詰めるのに40分ぐらいかかったんだなぁ、これが。話始めると完全に手が止まるもんで。
んで、やっと話が終わったところで、唯一売ってるドーナツを買おうとしたら「丁度15個あるから一人3つずつ持ってってよ」「今日は気分が良いからね」と又もや料金を取ろうとしない。じゃあ、これも自家製だという羊羹巻きを5つ、と酒部長(滝部長兼任)のMさんが言ったところ「そんなさぁ、5つとか言われたらまたあげたくなるの分かるだろぉ」と。お代は払いますから、と言ったら「商売させないでくれよぉ」と妙な泣きつかれ方をして結局買わせてくれなかった。

最後は表まで出てきて「ありがとうございました。また来てよ。今度は応仁の乱の話からするからさ」と見送ってくれた。結局当初予想の30分を大きく超える70分の大ネタでした。店主もこちらも立ったまま。
後5年で店を閉めると言い張ってたので、興味のある人は5年以内に行くと良いかも。ただ、こちらも京都とか歴史とか文化とかにある程度の知識が無いと店主が乗ってこないかもしれないけど。あと、体力が必要。登場人物は「バカ」と「利口な奴」しかいない。

単に古い店ってことで冷やかしの旅行客や登山客が多いらしくて、冒頭のような「見ていってよ(どうせ買わないんだろ)」という対応なんだそうだ。かつては月に1組もくるかどうかだったのが、「近頃スマホに出ちゃってよぉ」「『大月 木村屋』で出てくるんだよ」とのこと。ネットじゃなくてスマホなところは突っ込まなかったけど、写真撮って紹介文をあげた人がいるらしく、近頃は週に数組冷やかしの客が来るらしい。

まぁでも今年67という店主の暇つぶしには良いようだ。「67にしては若いですね」なんて言いながら帰ったんだけど、自分のブログを見返したら2010年の初対面時点で62と書いてあるから、その時も歳聞いたんだな。ま、あの時はそれどころじゃない衝撃だったから記憶に残らなかったか。

思い返しても色々ツッコミどころはあるのだけど、家に帰って食った干菓子は砂糖の塊といった感じでは無い上品な味でした。

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